取締役の職務に着目する(2)

今回は、取締役の義務について考えます。主な義務には、「善管注意義務」と「忠実義務」が有ります。

まず、「善管注意義務」についてみていきましょう。そもそも取締役は、善良なる管理者の注意義務を負うものとされています。特に、取引においては、社会通念上で要求される程度の注意義務(例えば、債務者が、この注意義務を欠くことは過失となります。すると、債務不履行又は不法行為などの民事上の責任を負うというものです。さらに、状況に応じて損害賠償や契約解除等も存在します。)が課せられています。

但し、善管注意義務違反となるものは、取締役が経営上の意思決定において、明らかに無謀と判断されるものに限ります。つまり、ある程度のリスクや冒険的な行為までは、善管注意義務違反には問われないというものです。

取締役になれば、常に意思決定の立場に立たされることが多く、その判断基準を明確にしておくと共に、決定した指示に対して責任を負うことを理解しなければなりません。

次に、「忠実義務」についてです。取締役は、法令・定款規定と株主総会決議を遵守し、会社のため忠実に責務を果たす義務を負うものとされています。但し、現在、「善管注意義務」とこの「忠実義務」の関係には、2つの解釈があるとされています。

一つは、同質説(両者を言い換えただけで、本質はおなじものというもの)です。もう一つは、異質説(取締役に課せられた独立の義務と考えるものというもの)です。この異質説に立てば、次のような内容になります。この忠実義務は、善管注意義務とは性質を異にする義務だと言い、会社と取締役との間には法律的信頼関係という高度な義務を負っているというものです。

では、この高度な義務とは、次のような義務を指しています。例えば、「利益相反取引の禁止(会社法第356条1項2号・3号)」や「競業避止義務(会社法第356条1項1号)」、そして「報告義務(会社法第357条)」や「お手盛り禁止(会社法第361条)」などです。さらに、何よりも信頼関係を繋ぐ大事なことは、株主総会決議の遵守です。他の取締役が決議を無視或いは逸脱した行為に及んだ場合は、諫め正すことが求められるということです。

さて、次回は、いよいよ取締役の職務に着目します。

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