建設業の労働生産性を高めるためには(7)

今回は、施工の質向上に向けた取り組み課題の「生産システム(施工体制)体質改善」について考えます。

生産システムは、大きく2つの機能に分かれます。一つは管理監督機能であり、もう一つは直接施工機能です。地方の元請業者は、管理監督のみならず、直接施工も備えている場合も散見します。そもそも以前の施工主体は、監督を頭とした職人集団からスタートし、書類や写真などの必要性に応じて、管理部隊を構成していきました。力関係でいうと、施工部隊の世話役或いは棒心と呼ばれる親方が上に立ち、管理部隊がこれに従う形で構成され、発注者との対応が重要視されてきたため、徐々に管理監督の下で、直営の施工部隊が従う、今の形となってきたのです。又、実行予算や資機材調達は、管理監督ではなく、企業の幹部が管理するのが一般的でした。その影響が今でも残っている企業も存在します。

つまり、最初から管理監督機能と直接施工機能が明確に役割分担されていたわけではありませんでした。特に、管理監督機能は、非常に不透明でした。企業により、その役割は大きく異なり、現場代理人という経営者の代理という位置づけになっても、お金を管理しない社員も存在しています。

そこで、施工体制は、企業が本来どのような機能を欲しているのかに合わせて再設計すべきです。何故かと言えば、企業によりめざしている管理監督の姿が異なるからです。企業が欲している管理監督機能を明確にし、その機能を備えた施工集団に創り上げることなのです。まず、機能を体系化します。例えば、戦略構築、原価管理、購買管理、設計変更などの管理機能や現場運営、施工管理などの監督機能に仕分けし、さらに細分化の上、業務項目に落とし込みます。

次に、地方の監督機能は、さらに細分化します。一例ですが、現場運営には、現場調査、施工計画、手配・段取り、折衝、施工指示・命令などです。これらの職務は、よく見ると世話役や職長とも重なります。例えば、職長の職務を挙げると次のようです。「標準施工に基づく作業方法の決定、工種毎の作業員配置、作業員への指示・命令・作業指示、資機材手配・段取り、施工図面に基づく数量広い、丁張り・遣り方設置、始業前点検、機械等保守点検、労働災害防止措置、安全衛生書類作成、作業日報作成など」です。元請業者の監督機能と直営並びに下請け業者の職長の職務との役割分担には、不明確極まりない状態が散見します。まさに、生産システムの体質改善が、これらの職務の見直しなのです。

管理機能についても同様です。これら管理機能、監督機能は早急に見直しを行わない限り、施工の質に言及することすらできません。

以上、施工の質向上に向けた課題(3つ)について考えてきました。この課題されクリアすれば良いかと言えば、そうではありませんが、まず、この3つの課題に挑戦し、解決を図って下さい。労働生産性向上に向けたスタートになります。

さて、次回からは中小建設企業の将来を創っていくべき取締役の職務に着目したいと思います。最近、地方の企業では、取締役自体が機能していないことや業務執行に対する内部統制ができないなど、目の前の経営の健全化や将来へ向けた経営改革が進まない状態が起こっています。しかも、取締役の職務が不透明で、本来の職務が機能していません。そこで、中小建設企業の取締役が本来の職務を全うするための方策を考えます。

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