建設業の労働生産性を高めるためには(4)

今回は、前回まで労働生産性を蝕む建設業の特殊性について述べましたが、そこから考えられる阻害要因を分析の上、課題を抽出します。

まず、「一品受注生産」における特殊性について考えます。ここには、自然条件や気象条件、多様化した顧客のニーズ、仕様変更の多さ、施工業者の不適切な施工などがありました。それぞれ阻害要因は、標準工程や標準施工が機能しないことや顧客の多様化したニーズへの対応力不足、イメージの違いを埋められないこと、そして、施工業者の施工技術の低さや隠蔽体質などが挙げられます。このことから取り組むべき課題は、①「標準工程、標準施工による管理」、②「顧客のニーズへの対応力強化」、③「設計、積算強化」、④「生産システム(施工体制)体質改善」などです。

次に、「労働集約型生産&重層下請け構造」における特殊性について考えます。ここには、屋外移動作業、重層化した下請け構造、そして繁忙期と閑散期などがありました。それぞれ阻害要因は、標準工程や標準施工が機能しないことや脆弱な企業が多く、十分な職人を雇用できないこと、そして何よりも公共工事に依存する体質などが挙げられます。このことから取り組むべき課題は、①「標準工程、標準施工による管理」、④「生産システム(施工体制)体質改善」、⑤「戦略的な経営への転換」などです。

最後に、「競争環境に馴染めない」における特殊性について考えます。ここには、入札談合や市場ニーズへの対応不足、そして閉鎖的な地域における『皆でわたれば怖くない』といった仲間意識などがありました。それぞれ阻害要因は、公共工事に依存する体質やマーケティング機能が理解できないこと、そして組織の改革意識が希薄であることなどが挙げられます。このことから取り組むべき課題は、⑤「戦略的な経営への転換」、④「生産システム(施工体制)体質改善」などです。

以上、5つの課題が抽出されました。再掲すると以下のようです。

①「標準工程、標準施工による管理」

②「顧客のニーズへの対応力強化」

③「設計、積算強化」

④「生産システム(施工体制)体質改善」

⑤「戦略的な経営への転換」

これらの課題は、いずれも経営上重要な課題でもあります。しかし、多くの企業で取り組みが行われていないのが実情です。『建設業の特殊性だからしょうがない』と諦めるではなく、真剣に向き合い、他社がやらないことをやるといった意識で取り組むべきです。これら課題の中でも、直ちにやるべきこと或いはやればできることを取り上げてみたいと思います。次回は、これらの課題について考えます。

最新記事

アーカイブ