建設業の労働生産性を高めるためには(3)

今回も、引き続き労働生産性を蝕む建設業の特殊性について考えます。まず、③「公共工事依存体質」です。地方の中小企業の多くは、公共工事に依存した受注環境にあります。閉鎖性が高く、他の地域の企業参入を排除する傾向にあり、公共工事だけで食べていける談合してステムを構築してきました。今や、公共工事が大きく削減され、公共工事だけでは食べていけない経営環境にも関わらず、ある意味仕方がないと諦めている経営者も散見します。しかも、受注の平準化が維持できない繁忙期と閑散期を毎年受け入れながら、工事を行うといった「なれあい」でもあります。

例えば、事業年度末である3月に向け、繁忙期を迎えます。しかし、その繁忙期を過ぎると、新年度予算が執行されるまで、数ヶ月出来高の上がらない日々を過ごすことになりますが、この状態を変えようとする企業が如何に少ないことでしょう。つまり、公共工事中心の企業は、労働者を必要以上に抱えることができず、労働生産性に着目することもないと言えます。公共工事に振り回される経営環境ということです。

次に、④「競争環境に馴染めない」です。上記の公共工事依存体質にも関係しますが、地方の中小企業は、この公共工事に振り回される受注環境から脱却しようといっても、多くの経営者から「それは、無理だ」という返事が返ってきます。とりわけ多くの原因が、「民間工事の受注がないからだ」です。しかも、「民間工事のある地域に出て行くには、経費が掛りすぎて利益にならない」とも言います。

しかし、経営を立ち止まることはできないでしょう。抱えている労働者や従業員を食べさせていくには、受注を確保し、利益を上げることが必要です。地域の企業同士で助け合っていくというのは、聞こえはよいが、談合という独占禁止法に抵触する法令違反です。すると、これは必要悪だとも言います。今後、企業同士が競争し合うために、他社と異なることを行うや従来の営業エリアから出て受注するなど「まさに競争」が求められるのです。でも、この競争という環境に馴染めず、敢えて競争しない選択肢を模索し続けているように見えます。これでは、労働生産性向上に不可欠な業務や施工の効率化に向かうことはありません。他の地域に出て行こうとすれば、戦略的な視点が必要です。市場や他社を分析し、勝てる方法を探りながら、攻めていくことなのです。このままでは、特に地方の中小企業の競争意識は低いままで、他社と全く異なる考え方又はやり方という「異物」は、受け入れられないでしょう。

最後に、⑤「経営改善が進まない」です。労働生産性を高めるためには、現状のシステムや考え方を否定し、新たなシステムや考え方を受け入れる姿勢が必要です。過去の栄光に固守するあまり、自身を否定されているような思いに駆られ、頭に血が上る人がいます。又、一応頭では理解しているつもりでも、いざ具体的に進めようとすると、躊躇し酷い場合には、拒否します。

何故でしょうか。根本的な原因は、教育不足です。新しい技術や経営ノウハウなどの情報量が少ないことや、習得する機会を持たない、つまり、教育の機会をつくらないということです。しかも、教育の必要性を認識しない経営者では、改革は一向に進みません。例えば、付加価値の高い情報が、経営者の下に集まっているでしょうか。この情報はただではなく、費用をかけて集めることが求められます。情報はタダだという認識の経営者が存在しますが、大いに反省して頂きたいものです。これでは結局、経営改善は進まないことになります。

以上のような特殊性は、もしかしたら建設業だけではないかも知れません。或いは、失礼な話しだと気分を害した経営者もいるかもしれません。そのような方には大変申し訳ありません。しかし、確実にこのような企業が存在しています。次回は、これらの特殊性から見える課題を抽出し、労働生産性を高めるための方策を考えていきます。

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