建設業の労働生産性を高めるためには(2)

今回は、労働生産性を蝕む建設業の特殊性について考えます。その原因を挙げると以下の内容が考えられます。

①「一品受注生産」、②「労働集約型生産&重層下請け構造」、③「公共工事依存体質」、④「競争環境に馴染めない」、⑤「経営改善が進まない」等です。

まず、①「一品受注生産」について考えます。本来大量生産が可能であれば、当然効率化は進みます。しかし、建設工事は、自然条件や気象条件に左右され、現地の地形に合わせた施工になり、予め工場で生産しておいた構造物を据え付けることが不可能な場合が存在します。加えて、顧客の多様なニーズの影響を受けることや仕様決定後にも変更を余儀なくされるなど効率化を阻害する要素も存在します。決められた製品を購入するシステムと大きく異なる建設業の特殊性なのです。従って、このような状況下では、一品受注生産とならざるを得ません。

さらに、一品受注生産は、顧客が予め完成品の品質を確認できない或いはイメージしにくい面があるため、仕様変更が発生しやすく、手戻りや手待ちが起こりやすくなります。そして、工事の途中でも不適切な施工が発生する恐れがあり、且つ検査等の確認が不十分ですと隠蔽も行われやすいと言われます。そのため、完成後にコンクリートのひび割れや鉄筋鉄骨の錆による劣化等が発生し、瑕疵の原因となります。

つまり、一品受注生産は、品質を確保しながら、生産性向上を図るために、業務や施工改善が個別毎に必要となります。ところが、一品受注のため、仕様変更の発生、標準化しづらい等、労働生産性を高めることができない原因となっているのです。

次に、②「労働集約型生産&重層下請け構造」について考えます。建設工事は、屋外且つ移動作業、手元作業を伴うため、日々変化する気象条件や工程に対処する必要があります。多くの労働者を多工種必要とし、ある時期に集中して行う等労働集約型生産です。さらに、顧客から請け負った工事は、監理者、設計者、施工業者等が関わります。

そして施工業者は、管理監督機能を主にした元請業者から、専門の技術を持った各職種の職人が関わる重層下請け構造となっています。これら重層下請け構造が、過重なる間接経費を招き、ピンハネを生む原因になるなど、労働者に対する不当な低賃金に繋がる恐れがあります。労務提供型の中小企業は、工事の平準化が見込める場合は、大量の職人を抱えることも可能です。しかし、地方の中小建設企業では、工事の平準化は見込めず、職人を常時抱えるリスクが大きいことから、企業経営も脆弱です。しかも、元請け業者からの大量の人員要請に応えきれないため、重層下請け構造化しているわけです。

従って、労働生産性向上に取り組みにくい環境にあるということです。

さて、次回も引き続き、労働生産性を蝕む建設業の特殊性について考えます。

最新記事

アーカイブ