建設業の労働生産性を高めるためには(1)

今回より、建設業の労働生産性について考えます。現在、建設業に関わらず働き方改革が叫ばれています。この建設業で生計を維持していくためには、時短や休日も大事な要素ですが、それ以上に労働の質を上げなければ達成は難しいと言えます。そこで、将来の建設業を考えた時、経営者の皆様は、若い技術者に対し、建設業で働きたいという魅力ある産業を提示或いはつくることができるでしょうか。企業が継続して経営を行うためには、適正な利益の確保が大前提です。そのためにも、労働生産性を高めることは重要な取り組みです。

今まで労働生産性はどのように推移してきたのか、或いは企業自身、その労働生産性を高める努力をしてきたのかを考えていきます。まず、「国内総生産と建設投資の比較」を見ると、バブル以降、国内総生産は500兆円前後で推移してきました。一方、建設投資は減少傾向に歯止めが効かず、東日本大震災が起きた平成23年3月11日までは右肩下がりで推移しました。そのため、国内総生産に占める建設投資の割合も同様に減少傾向でした。

又、「産業別労働生産性の比較」については、特に、製造業との比較において顕著に表れています。確実に、製造業は労働生産性向上に取り組んできた産業と言えますが、建設業は労働生産性が低下の一途を歩んできました。この違いはどのような原因でしょうか。例えば、業務のシステム化、施工などの機械化への取り組み、働く社員への教育実施など様々な課題があります。ところが、真の原因は別にありそうです。次にその原因を探って見ましょう。

「法令遵守に対する危機意識の低さ」ではないでしょうか。例えば、「独占禁止法違反となる入札談合」です。このことは、地方の中小建設企業にも大きな影響を及ぼし、競争意欲を失わせ、容易に工事が受注可能な配分システムがつくられ、建設業界の勝手な論理(必要悪)で行われてきました。その場では、受注獲得の機会が得られることから、無理に労働生産性向上への取り組みをしない、つまり、業務や施工の合理化は遅れ、競争力も低下し、有能な人材の確保不足を招いてきたと言えます。その結果、多くの地方の企業の自立経営が立ちゆかなくなりました。加えて、「入札談合」は独占禁止法違反のみならず、刑法上も公務執行妨害罪に問われ、行政執行を妨げるものです。

そして、今でも談合解消に向けた取り組みは行われてきましたが、依然として談合が存続しているのも事実です。その理由を挙げると以下のようです。

①「一般競争入札を徹底しても、入札参加資格(例えば、地域条件、工事経験、ランク制など)を規制し、地元業者に限定していること」

②「課徴金減免制度の適用が皆無に等しいのは、閉鎖的で強固な運命共同体的体質だから」

③「官公需法における中小建設企業優先発注が、法的要請という大義名分によるため」

④「公共工事以外、売上げの確保が想定できない地方の企業のため、計画配分された事業予算に依存するしかない」

このような状況が減少し、健全な競争の下で受注活動並びに経営活動が行われればこの原因は解消でき、新たなテーブルへ移ることができ、労働生産性向上に繋がることと信じています。

次回は、労働生産性の低下の原因についてさらに考えていきます。

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