改革を進めるための専門家活用(5)

今回も前回に引き続き、専門家活用の目的について考えます。最初に、③「ある機能、システムを見直すため」です。この機能、システムを見直すのは、次の2つの現象に起因しています。一つは、企業の業績が悪化し、自社では改革を進めるための機能、システムが設計できない場合です。もう一つは、企業規模が大きくなり、その規模に応じた組織的な機能やシステムが必要になります。いずれの場合も機能並びにシステムの善し悪しが、パフォーマンス(費用対効果)に大きく影響し、必然的に機能、システムの見直しが発生するわけです。

この機能、システム見直しは、専門家を活用せずとも十分自社でも可能です。業務や施工の効率が悪化していることを特定し、改善することはそれほど難しいことではありません。しかし、何故その改革が進まない企業が散見するのでしょうか。それは、経営者自身に最大の原因があります。まず、改革を行うための経営者自身の能力向上を図っていないことが挙げられます。又、自社の市場、世の中の動向など変化への対応が遅れることも原因ですが、経営者自身が改革への備えを怠りなく準備していれば、専門家を活用するまでもなく、自ら改革を行える筈です。

次に、④「自社の経営体質を抜本的に改善するため」です。この状況に至った企業は、最後の手段で、経営者にとり専門家を活用することは断腸の思いで決断することでしょう。地方の中小建設企業の経営者は、外部の専門家の存在すら知らない場合もあります。加えて、多くの経営者は、専門家など外部の人間に企業内部を晒したくないとも考えています。経営者自身の経営に対する思いが明らかになることを恐れています。しかも、社員に至ってはそれ以上に、専門家とは何物で、よそ者以外何者でもありません。何故でしょうか。現状肯定、つまり、現在の環境に慣れ生活が送れている限りは、変える必要性を認識していません。最後には、国交省や都道府県、市町村といった発注者が何とかしてくれると考えているところもあります。自力で現状を壊し、新たな挑戦をする等とは夢にも思っていないかもしれません。

このように、強固で閉鎖的且つ保守的な体質を抜本的に改善しようなどと考える方に無理があるかもしれません。従って、外部の専門家が、新しいことや普段と異なる業務をいくら提案しても、建設的に受け入れる姿勢はないと言えます。だから、通常の状況では専門家活用はなく、倒産といった状況に至った場合に発生するのかもしれません。

次に、⑤「社員の能力向上のため」です。本来は、④と同じですが、直接経営上の危機意識とはことなり、社員の能力向上を何とかしたいというものです。つまり、専門家を活用しやすいテーマです。しかも、若手社員や一般社員(現場代理人など)が対象であり、経営に大きく影響するとも思ってはいません。実施時期も閑散期であり、繁忙期を避けて実施するものです。

そもそも社員の能力向上を経営上、重要な経営課題だと認識している経営者がどのくらいいるでしょうか。甚だ疑問です。企業は、毎年決算を迎え、経常利益分配時に、内部留保、社員への還元(賞与)、投資の内、社員教育という投資をどの位考えているでしょうか。将来への投資である社員教育は、必要な経費となってほしいものです。

最後に、⑥「経営者に寄り添う専門家の助言がほしいため」です。優秀な経営者は沢山います。日夜、経営に対する努力を怠りなく実践されている経営者でも、専門家の助言や考え方を聞きたいと思うものです。最初、専門家の講演を聴き、さらに自社の経営上のアドバイスを聞きたいと思うのは、ごく自然です。但し、経営者は、準備万端怠りなく実践していると思っていますが、それでも聞こうとするのは、あなたのやり方で大丈夫という専門家の言葉が聞きたいのです。

以上、6つの専門家活用の目的を列挙しました。これらの他にも当然ありますが、要は、明確な目的を持って専門家を活用することです。回りが言っているからや進められたからなど経営者自身の意思とは異なると、途中で辞めようと思うでしょう。

さて、次回は、本来あってはならないことですが、費用対効果の悪い或いは無駄になった専門家活用の失敗例を紹介します。

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