将来を創造する職務再設計(15)

今回は、社員教育について考えていきます。企業の将来を創っていくのは人材です。その人材を採用し、日々の教育・評価を通じて能力向上を図っていきます。そして、社員が企業への貢献を高めるためには、職務レベルを上げ、生産性向上に寄与することで、労働の対価である報酬がアップし、責任ある役職なども勝ち取ることができるなどモチベーションアップに繋がります。

但し、社員を採用した段階で、企業が期待する人材が確保されていれば、教育の必要性はありませんが、実態はそうではありません。企業は、社員に対し教育環境を提供しながら、その社員の能力向上を図り、企業の利益確保は勿論のこと将来の企業づくりに貢献させる必要があります。つまり、企業を創造するための教育が全く機能していません。次のような声をよく聞きます。

「現場での仕事が忙しくなり、人手が足りないので、増やしてほしい。」これは、人材の価値向上を図っていない典型的な例です。経営者は、この要請に対し社員を増員します。しかも、即戦力です。しかし、一向に社員の仕事は減らず、却って余計な手間が増えて困るなどと言う社員も存在します。どんどん生産性悪化の一途を辿り、負のスパイラルに陥ります。

大事なことは、社員の能力向上、仕事の生産性向上なのです。このことを経営者は忘れています。社員に責任転嫁している場合ではありません。経営者は、社員教育を最重要課題として認識すべきです。

さて、社員教育は経営者の決意です。特に、経営者が行うべきトップメッセージが重要です。何故、社員教育が必要なのかの問い掛けに、きちんと経営者が応えているでしょうか。次のような答えであれば安心です。

「働く社員の能力向上が、企業の利益確保に繋がるから」や「経営者である私の言うことが理解できず、行動に移せない社員では、将来の企業が不安だから」。

しかし、次のような答えでは非常に不安です。「新人若手等に対し、早期に知識能力向上を図るため」や「建設業の担い手を確保するため」。前者は、新人教育さえ実施していれば、社員教育が行われていると勘違いしているケースです。後者は、建設業界が言っているから必要だといった、第三者的視点に過ぎず、社員教育に関心がありません。

つまり、社員教育は、経営者自身の経営に対する姿勢が問われているのです。特に、「今は忙しく社員教育所ではなく、閑散期に入ったら何か考えよう」や「建設業協会などの講習会に参加させ、CPDSのポイントを取らせよう」では、社員教育を本気で考えているとは、とても思えません。そのためにも、まずトップメッセージを発信し続けることです。このトップメッセージは、社員に対して強い影響力を行使します。経営者の思いや将来へのビジョンなどを熱く語ることにより、社員の心に深く刻まれ、社員自身に夢や将来を意識させます。経営者は、この意味をきちんと理解し、社員に対しトップメッセージを発信し続けることです。このトップメッセージは社員のみならず、お客様や金融機関、専門家など利害関係者の皆様にも届くことになり、企業イメージを大いに高めることになります。

さて、次回は、社員の能力向上に繋げるための社員教育システムについて考えます。

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